中央銀行デジタル通貨講座

中央銀行デジタル通貨(CBDC)入門講座 第1回

Facebookが主導する暗号通貨リブラの発行計画を受けて、法定通貨と価値を固定するステーブルコインへの関心が高まっています。さらに、ステーブルコインより話を進めて、各国の中央銀行そのものがデジタル通貨を発行するという中央銀行デジタル通貨(CBDC)の可能性についても話題になる機会が増えてきています。

CBDCとは、現在一般的に流通している紙幣や硬貨と同じように、中央銀行がデジタル通貨を発行することを指しています。

”デジタル通貨”という名称には馴染みがありませんが、ビットコインなどの暗号通貨と同じようにブロックチェーンを活用することを想定されたものです。

この講座では、中央銀行デジタル通貨(CBDC)についての幅広い知識を確認しつつ、CBDCの可能性や危険性、また実現可能性についての検証を行うことができる材料の提供を目的とします。

中央銀行デジタル通貨CBDCの定義について

世界各国の政府が調査研究を進めているものの、まだ現実的に採用した国家はありませんので、CBDCの定義については非常にあいまいです。限りなく概念に近いものです。

一般的にCBDCの定義を確認する際に使用されるのが、以下の図です。

この図では、お金について4つの要素によって分類を行っています。

  • 中央銀行の発行(Central bank issued)
  • デジタル(Digital)
  • トークンベース(Token based)
  • 広範な利用可能性(Widely accessible)

これらのうちの4つ全てを満たしたものが正真正銘の中央銀行デジタル通貨なのですが、実は一部が欠けていても要件を満たすと考えられています。

とはいえ、CBDCには「中央銀行」「デジタル」の2つが名前そのものに入っていますので、この2つの要件については絶対に必要です。つまり、「トークンベース」「広範な利用可能性」についてが絶対条件ではないということです。

中央銀行デジタル通貨を定義する4つの要件について

では、さきほど挙げた4つの要素について、それぞれの内容を具体的に確認していくことにします。

中央銀行の発行(Central bank issued)

まず、中央銀行の発行かどうかですが、これについては特に議論の余地はありません。

国内情勢が緊迫していて内戦状態にあるような国家であれば、どっちが中央銀行なのだという国内問題が生じる可能性がありますが、日本をはじめとした平和な国々には中央銀行はひとつしかありませんので、その中央銀行が発行しているかどうかということです。

日本でいえば、日本銀行が発行しているのかどうかです。

デジタル(Digital)

続いてはデジタルかどうかで、これも特に議論の余地がなさそうに思えるんですが、ひとつだけ重要な点があります。

まず、日本円ベース(法定通貨ベース)でのデジタルな決済手段としてイメージしやすいものには、以下の3種類があります。

  • クレジットカード(Visa、マスターなど)
  • 交通系ICカード(Suicaなど)
  • 〇〇ペイアプリ(Paypay、LINE payなど)

しかし、実は最も多く利用されているデジタルの決済手段は、これらの3つではありません。デジタルの決済手段に分類されているなかで最も活用されているのは銀行の口座間送金です。

トークンベース(Token based)

トークンベースかどうかという要素については、少し説明が必要そうです。

まず、トークンベースの対義語となるのは口座ベースです。トークンと口座が対義語の関係になっていることで、ますます混乱するかもしれませんが説明を続けます。

  • トークンベース(個人や企業間で移動)
  • 口座ベース(口座間で移動)

トークンベースの代表的なものは現金です。紙幣と貨幣の2種類がある現金は、店舗で買い物をするときの支払いや、友人間の貸し借りを含めて自由にお金の移動をすることができます。

また、現金と比べると制限があるものの、交通系ICカード〇〇ペイについてもトークンベースに含まれます。スマホなどの端末にあるアプリにお金を入れた個人が、企業や個人とのお金のやりとりに使用します。

一方、口座ベースというのは、個人や企業が中央銀行(日銀)に口座を開設することで、その口座間をお金が移動するという仕組みです。現在のところ、日本銀行に口座を開設することができるのは銀行のみです。

(ちなみに、銀行とノンバンクの最大の違いは、日銀に口座があるかどうかです)

ビットコインを含めた暗号通貨に慣れている人たちにとっては、デジタル通貨はトークンベースであることが当然のように感じられるかもしれませんが、定義としては口座ベースであってもCBDCに含まれます。

広範な利用可能性(Widely accessible)

最後に広範な利用可能性についてですが、こちらも具体的な説明が必要です。

ただし、名前がややこしいわりには決して難しいことではなく、一般の個人や企業を含めた誰もが利用できる状態であるのか、あるいは中央銀行と民間銀行の間だけで使用するのかという違いです。

つまり、中央銀行デジタル通貨を利用するのが、以下のどちらかということです。

  • 中央銀行、銀行、企業、個人(広範である)
  • 中央銀行、銀行(広範ではない)

ここまでを読んで少しがっかりする人もいることでしょう。なぜなら、中央銀行デジタル通貨が実現する未来が来るかもしれないと言われているものの、実は個人が利用できるようなレベルのものではない可能性があるからです。

中央銀行デジタル通貨CBDC講座 第1回まとめ

  • 法定通貨の価値に固定する暗号通貨に注目が集まっている
  • 各国の中央銀行がデジタル通貨について研究調査している
  • 中央銀行デジタル通貨の要件は4つ